DOI: 10.1002/jja2.13160 ISSN: 1883-3772

頸髄損傷後にQuad feverを発症した若年者の1例(A case of Quad fever in a young person after cervical spinal cord injury)

佐藤 汐織, 石澤 義也

要旨

【背景】 脊髄損傷後に発症する原因不明の高体温はQuad feverと定義され,致死的な経過をたどることがある。本症例を通じ,早期にQuad feverを考慮し迅速に治療介入することの重要性を周知したい。 【症例】 20歳代の男性が高所から墜落し,American Spinal Injury Association Grade Aの頸髄損傷(C6/7頸椎脱臼骨折)を受傷し,集中治療室に入院した。第2病日に全身麻酔下に頸椎前方固定術と左膝蓋骨,左鎖骨に対し観血的骨接合術を行った。術前の腋窩温は39.8℃,術後は38℃台で推移していたが,第3病日に42℃まで上昇した。解熱剤や抗菌薬を投与し経過をみていたが,循環動態が不安定となり,蘇生に反応せず死亡した。検視時の直腸温は45℃で,司法解剖では肉眼的に感染所見はなく,高体温による骨格筋・心筋の褪色と多臓器不全の所見を認めた。敗血症や悪性高熱症,悪性症候群の可能性は低く,頸髄損傷後の高体温であることからQuad feverの可能性が高いと考えられた。 【結語】 頸髄損傷後に高熱がみられ,通常の解熱療法が無効な場合には,Quad feverを考慮し,迅速かつ積極的な体温管理が予後改善につながる可能性がある。

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