DOI: 10.1002/jja2.13189 ISSN: 1883-3772

頚部CT矢状断における傍脊柱脂肪織の異常所見に着目した鈍的頚部外傷2症例(Two cases of blunt cervical trauma highlighting abnormal paraspinal fat pad findings on sagittal CT of the cervical spine)

山﨑 武瑠, 反町 光太朗, 小野寺 誠, 伊関 憲

要旨

【背景】 頚椎外傷では骨折を伴わなくても軟部組織損傷により不安定性を呈し,見逃しは重篤な神経障害につながる。救急医には初療時CTで追加画像評価や専門科へのコンサルテーションを要する症例を適切に抽出することが求められるが,骨折や明らかなアライメント異常を認めない症例ではその判断は容易ではない。傍脊柱脂肪織(paraspinal fat pad: PFP)の異常所見(abnormal PFP)は後方靱帯複合体(posterior ligamentous complex: PLC)損傷の間接所見とされる。Abnormal PFPを認めた鈍的頚部外傷2例を報告する。 【症例】 症例1は67歳,男性。初診時CTで骨折や明らかなアライメント異常を認めず退院したが,その後第5頚椎前方脱臼が判明し手術を要した。後方視的検討で初療時CTにabnormal PFPを認めた。症例2は78歳,男性。初診時CTでabnormal PFPを認め入院した。その後神経症状が出現し,磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging: MRI)でPLC損傷および硬膜外血腫を認め緊急手術を施行した。 【結語】 救急医は鈍的頚部外傷の初療CT読影時に,PFPの所見にも着目し,abnormal PFPを認めた場合は後方支持機構損傷を疑い,追加画像評価や専門科へのコンサルテーションを検討することが重要である。