虫垂炎の診断における,CTにおける虫垂腔内ガス像消失の診断精度の検討:調査報告(Evaluation of the diagnostic accuracy of intraluminal air disappearance on CT in the diagnosis of acute appendicitis)
大高 章義, 勝木 幹太, 萩原 彩, 森田 智也, 溝辺 倫子, 髙橋 仁, 舩越 拓要旨
【背景】 虫垂炎診断ではCTでの虫垂径 >6mmが広く用いられるが,特異度は低い。近年,虫垂腔内ガス像消失の有用性が報告されているが,診断精度の検証は十分でない。本研究では救急受診した成人患者において両所見の診断精度を同一患者群にて比較した。 【方法】 単施設後ろ向きコホート研究で,2022年1月1日から2022年5月31日までに救急外来を腹痛または心窩部痛で受診し,腹部造影CTを施行された18歳以上の患者を対象とした。虫垂炎診断は,手術例では病理所見,保存加療例では臨床診断に基づいた。 【結果】 320例中197例が解析対象で33例が虫垂炎と診断された。対象患者の年齢中央値は48歳(四分位範囲30 – 64),男性は44%であった。虫垂腔内ガス像消失の感度・特異度は79%,74%,虫垂径 >6mmでは100%,70%であった。ガス像消失の感度は有意に低かった(差 −21%,95%信頼区間 −35 – −7%,P=0.02)が,特異度に有意差はなかった(差5%,95%信頼区間 −12% – 2%,P=0.35)。 【結語】 同一患者群における虫垂炎のCT所見で,虫垂腔内のガス像の消失は,虫垂径が6mmを超えることに比して感度が有意に低かった。虫垂炎の診断は,単一の画像所見ではなく,予想される病期に特徴的な画像所見や,病歴と身体診察から見積もった事前確率を組み合わせて行う必要がある。