DOI: 10.1002/jja2.13180 ISSN: 1883-3772

救急領域における微量栄養素(Micronutrients in emergency care)

室屋 大輔, 水野 慶, 北村 拓也

要旨

微量栄養素(micronutrient: MN)は,ビタミンおよびミネラルから構成され,エネルギー代謝,免疫応答,酸化ストレス制御,創傷治癒,造血,神経機能など多様な生体機能の維持に不可欠である。救急・集中治療領域では,敗血症性ショック,外傷・熱傷,急性呼吸不全,アルコール関連救急,高齢フレイル患者,持続的腎代替療法や体外式膜型人工肺を要する長期重症患者などにおいて,MNの欠乏,喪失,再分布,過剰投与リスクが問題となりうる。一方で,血中MN濃度の低下は,真の体内欠乏だけでなく,急性期反応による再分布,希釈,喪失,臓器障害,栄養投与経路,重症度を反映する場合があり,単一の検査値のみで欠乏や補充適応を判断することは困難である。したがって,MN管理では,測定結果を待たずに経験的補充を検討すべきビタミンB1,リスクに応じて測定し補正を検討すべき亜鉛,銅,セレン,鉄,ビタミンD,葉酸,ビタミンB12,一律の高用量補充を避けるべきビタミンC,ビタミンD,セレンを区別する必要がある。本稿では,救急初療および集中治療室入室早期におけるMN評価の解釈,測定を考慮すべき病態,補充戦略の実践的位置づけについて概説する。