DOI: 10.1002/jja2.13163 ISSN: 1883-3772

急性虫垂炎に起因する卵巣膿瘍の1例~術前に原因診断が困難であった症例~(A case of ovarian abscess caused by acute appendicitis with difficulty in preoperative identification of the origin)

立枝 和, 丸山 常彦

要旨

【背景】 卵巣膿瘍は通常,生殖器からの上行性感染に起因し,虫垂炎に由来することは稀である。今回我々は,急性虫垂炎に起因する卵巣膿瘍の1例を経験したので報告する。 【症例】 51歳,女性。発熱,嘔気,下痢を主訴に前医を受診し胃腸炎と診断されたが,以後間欠熱が1か月間持続したため精査加療目的に当院紹介となった。腹部造影CTで骨盤内膿瘍,および両側卵巣腫大を認めた。婦人科骨盤内炎症性疾患を疑い入院のうえ,抗菌薬治療を行った。一時的に改善し第7病日に治療を終了したが,退院3日後の経腟超音波検査で右卵巣腫大の増悪を認めたため,手術適応と判断した。術中所見では,右卵巣は6cm大に腫大していた。虫垂の腫大はなかったが,根部で右卵巣と交通し内部の膿瘍形成を認めた。盲腸部分切除術,両側付属器切除術を施行した。病理組織学的検査で右子宮内膜症性嚢胞への虫垂穿孔を認め,虫垂炎卵巣穿破と診断した。 【結語】 卵巣膿瘍の診療においては,生殖器からの上行性感染と消化管からの播種性感染の双方を念頭に置いた病歴聴取が重要であり,消化管由来の場合は早期の外科的治療介入が望ましい。

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