DOI: 10.1002/jja2.13185 ISSN: 1883-3772

尿管結石による後天性水腎症に腎損傷を来して腎摘出に至った1例(Nephrectomy following renal injury in acquired hydronephrosis secondary to urolithiasis: A case report)

平井 寧々, 高端 恭輔, 中川 弘大, 鵜飼 勲, 中川 雄公

要旨

【背景】 尿管結石による無症候性後天性水腎症を伴う鈍的腎損傷に対して非手術療法(nonoperative management: NOM)を選択した。経過中に生じた仮性動脈瘤と動静脈短絡による出血制御と尿管結石による感染制御に難渋し,腎摘出術に至ったので報告する。 【症例】 尿管結石や後天性水腎症を指摘されたことのない63歳の男性。器械体操の指導中に選手が腹部に衝突し,腹痛・左背部痛・血尿を認めたため救急搬送された。造影CTで左尿管結石とそれに伴う後天性水腎症,日本外傷学会臓器損傷分類 IIIb(lM)H2,American Association for the Surgery of Trauma臓器損傷分類(AAST分類)Grade IVの左腎損傷を認めた。来院時の循環動態は安定していたため,ダブルJステントを留置しNOMを行った。しかし,第7病日に背部痛が増悪し,血尿の増加と貧血の進行を認め造影CTを撮影した。左腎周囲の血腫が増大し血管外漏出像を多数認めたため,血管造影を行った。左腎に多数の仮性動脈瘤と動静脈短絡を認め,経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization: TAE)を施行した。しかし,TAE後も血尿が持続して膀胱タンポナーデに至った。すべての仮性動脈瘤と動静脈短絡を塞栓すると腎機能の低下を引き起こすと考えられた。また,尿管結石の存在により感染の改善も乏しく,第9病日に左腎摘出術を施行した。術後経過は良好で第18病日に退院した。 【結語】 尿管結石による無症候性後天性水腎症を背景とした腎損傷に対しNOMを選択したが,最終的には腎摘出術を要した1例を経験した。