DOI: 10.1002/jja2.13169 ISSN: 1883-3772
下横隔動脈破綻による非外傷性血胸の1例(Nontraumatic hemothorax from inferior phrenic artery rupture: a case report)
本間 智, 吉田 拓生要旨
【背景】 血胸の多くは外傷に由来し,原因血管は肋間動脈が一般的である。今回,複数の出血性素因を有し,下横隔動脈の破綻により非外傷性血胸を来した症例を経験したため報告する。 【症例】 骨髄異形成症候群の既往を有し,維持透析中であった64歳の女性が,明らかな外傷歴はなく,突然の呼吸困難を呈し救急搬送された。来院後に呼吸不全,意識障害,血圧低値を認め気管挿管を施行した。胸部X線写真で右肺野の透過性低下を認め,ダイナミック造影CT検査にて動脈性の造影剤血管外漏出を確認した。胸腔ドレナージを施行した後に,血管造影を施行し,下横隔動脈からの出血が同定され,経カテーテル動脈塞栓術により速やかに止血が得られた。止血後は人工呼吸器管理を要し,残存血腫および人工呼吸器関連肺炎により呼吸不全が遷延したが,第37病日に人工呼吸器から離脱し,第50病日にICU退室となった。 【結語】 非外傷性血胸において出血性素因を複数有する患者では,下横隔動脈破綻も鑑別に含め,適切な止血戦略を立案することが重要である。