DOI: 10.1002/jja2.13181 ISSN: 1883-3772
一次性損傷と二次性損傷の関与が示唆された外傷性汎下垂体機能低下症の1例(A case of traumatic panhypopituitarism suggesting the involvement of both primary and secondary injury mechanisms)
西浦 嵩弥, 西山 和孝, 町山 彩美, 山田 知輝, 上尾 光弘, 水島 靖明要旨
【背景】 外傷性汎下垂体機能低下症は稀であり,一次性損傷と二次性損傷が複合的に関与して発症したという報告は少ない。 【症例】 20歳,男性。高所からの墜落により当院へ救急搬送された。来院時,切迫心停止状態に対し蘇生的開胸術を施行し,循環動態を維持した。FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)陽性であり,緊急開腹術を施行。肝損傷に対しDamage Control Surgery,TAE(Transcatheter Arterial Embolization)を併用して止血を得た。術後,頭部CTでは前頭葉,下垂体周囲の脳挫傷を認めた。ISS 34,予測生存率(Ps)0.1087(TRISS法)であった。第7病日循環動態は安定し,昇圧薬の持続投与を終了した。第10病日尿量増加,尿浸透圧低下,血清Na値上昇を認め,中枢性尿崩症と診断した。中枢性尿崩症は遷延し,第46病日に施行した内分泌学的検査,頭部MRI検査から外傷性汎下垂体機能低下症が示唆され,退院後の負荷試験で確定診断に至った。 【結語】 外傷性汎下垂体機能低下症の発症機序として直接外力による一次性損傷に加え,重症外傷に伴う循環不全や低灌流による二次性損傷の関与を考慮する必要がある。